強迫性パーソナリティー障害の症状・原因と治療・対応方法


極端な完璧主義によって日常生活を送ることが困難になる「強迫性パーソナリティー障害」。その特徴や原因、症状、および治療方法についてみていきましょう。


■強迫性パーソナリティ障害とは?


非常に細かいことやルールを守ること、ミスをしないことなどに強いこだわりを持ち、日常生活に支障が出てしまう病気のことを「強迫性パーソナリティー障害」と言います。

強迫性パーソナリティ障害の特徴と原因人口の約1%にみられる障害で、女性よりも男性に多く、たいてい20代に発症し始めると言われています。性格の特徴としては、生真面目で、規範や規則への異常なこだわりがあり、融通が利かないことが多いようです。完璧主義者ゆえに、自身のミスだけでなく他者のミスも許すことができません。

直接的な原因は、まだ明確に分かっていませんが、「いくら頑張っても褒めてもらえなかった」といった幼少期の家庭における厳しすぎるしつけが影響しているとも考えられています。また、第一子に多くみられるという報告もあり、第一子には大きな期待をかけ厳しく育てがちになってしまう傾向をふまえると、これを裏づけていると言えるかもしれません。

強迫性パーソナリティー障害の症状強迫性パーソナリティー障害の症状には、このようなものがあります。

・細かいことにこだわりすぎて、本来の目的を見失う

・柔軟な対応ができないため、少しでも予定や計画が狂うとトラブルを起こす

・自身で定めたルールに固執したり、自分の時間を最優先にしたりするため、対人関係を円滑に運べない

・他人に自分のやっていることを任せられない。任せることができても、完璧なやり方を強いるため、協調的な対人関係を作れない

・将来に対して常に不安を抱き、過度な貯蓄に走り、質素な生活を送る

・価値観が固定的なため、周囲の意見やアドバイスに耳を貸さない

また、視野が狭くなったり、自分のミスを厳しく追及しがちになってしまうことから、うつ病になる危険性もあります。




■強迫性パーソナリティー障害の治療方法


強迫性パーソナリティー障害の治療にはカウンセリングなどの心理療法が有効です。この障害に悩む人は、すべてのことを完璧にこなさなければならないという強迫観念から不安を感じることが多くあります。日常生活で感じる強迫観念をほぐすために、継続的にカウンセリングを受け、客観的に自身の思い込みを見直していきます。

病的な完璧主義によって日常生活を送ることが困難な場合には、脳内神経伝達物質を調整する処方薬による薬物療法を行うこともあります。また、うつ状態が見られる場合には抗うつ剤を処方して気分の落ち込みを和らげることもあります。

個人差が大きく出る強迫性パーソナリティー障害は、すべての発症に対して治療が必要というわけではありません。完璧主義な性格をうまく生かせる職業につけたり、家族や周りの人たちの理解と協力が十分に得られたりする場合には、治療の必要がないこともあります。しかし実際には、この病気によって日々の生活に支障が出ることのほうが多いため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。