ICD-10によるうつ病の重症度分類

WHO(世界保健機構)が発行しているICD-10では、うつ病の症状を「大項目」と「小項目」に分け、

それぞれをいくつ満たすかという「数」と日常活動・仕事などがどれくらい出来るのかによって重症度を分けています。

具体的には次のようになります。


大項目

  • 抑うつ気分(落ち込んでいる気分)
  • 興味と喜びの喪失(興味を持てない、楽しめないという気分)
  • 易疲労感(疲れやすい)


小項目

  • 集中力と注意力の減退
  • 自己評価と自信の低下
  • 罪責感と無価値感
  • 将来に対する希望のない悲観的な見方
  • 自傷あるいは自殺の観念や行為
  • 睡眠障害
  • 食欲不振


軽症うつ病エピソード ・・・大項目2つ以上、さらに小項目2つ以上。
中等症うつ病エピソード・・・大項目2つ以上、さらに小項目3つ以上(4つが望ましい)。
重症うつ病エピソード・・・大項目3つ、小項目4つ以上でそのうちのいくつかが重症でなければならない。

【軽症】
 いかなる症状も著しい程度であってはならず、エピソード全体の最小の持続期間は約2週間である。軽症うつ病エピソードの患者は、通常、症状に悩まされて日常の仕事や社会的活動を続けるのにいくぶん困難を感じるが、完全に機能できなくなるまでのことはない。

【中等症】
いくつかの症状は著しい程度にまでなる傾向を持つが、もし全体的で広汎な症状が存在するならば、このことは必要事項ではない。エピソード全体の最小の持続期間は約2週間である。中等症うつ病エピソードの患者は、通常社会的、職業的あるいは家庭的な活動を続けていくのがかなり困難になるであろう。

【重症】
重症うつ病エピソードでは、制止が顕著でなければ、患者は通常かなりの苦悩と激越を示す。自尊心の喪失や無価値観や罪責感をもちやすく、特に重症な症例では際立って自殺の危険が大きい。重症うつ病エピソードでは身体症状はほとんど常に存在すると推定される。
しかしながら、もし激越や精神運動制止などの重要な症状が顕著であれば、患者は多くの症状を詳細に述べることをすすんでしようとしないか、あるいはできないかもしれない。このような場合でも全体的に、重症エピソードとするのが妥当であろう。うつ病エピソードは通常、少なくとも約2週間持続しなければならないが、もし症状が極めて重く急激な発症であれば、2週間未満でもこの診断をつけてよい。
 重症うつ病エピソードの期間中、患者はごく限られた範囲のものを除いて、社会的、職業的あるいは家庭的な活動を続けることがほとんどできない。

 

出典:せせらぎメンタルクリニック