非定型うつ病の症状


近年、従来のうつ病の特徴とは異なるうつ症状を発症する若者が増えているとして話題になっています。この従来型うつ病と異なる特徴をもつうつ病は、一部のメディアなどで「新型うつ病」とも呼ばれています。このタイプのうつ病はいくつかの種類に分けられますが、ここでは特によく知られている「非定型うつ病」について、解説します。


■従来のうつとは異なる「非定型うつ」とは?

従来型のうつ病は「メランコリー親和型」と呼ばれ、主に以下のような特徴があります。

・まじめで誠実、仕事熱心である。

・責任感が強い(問題が起こると、自分のせいにしがちである)。

・問題を自分ひとりで解決しようとする。

・心身共に疲弊して、何もしたくなくなる。

・食欲不振により体重が減る。

・不眠症になり、早朝に目が覚める。

・自分がうつであることを隠したがる。

・中高年に多い。

一方、「非定型うつ病」は主に以下のような特徴があります。

・責任を持ちたがらない。

・問題が起こると、他人のせいにする。

・嫌なことをする時のみ症状が出る。

・気分の波が激しい。

・過食により体重が増える

・過眠症になる(10時間以上、またはいつもより2時間以上睡眠する)

・他人の批判に過敏で、気分の落ち込みの引き金になりやすい。

・20代〜30代に多い。

特徴は異なりますが、共通する症状もあります。代表的なものには、以下のような症状があります。

・平日の朝は起きられない。

・体が鉛のように重く感じる。

・集中力や思考力が停滞する。

・自殺を考えたり、死ぬことへの恐怖を何度も感じたりする。


■その他の従来型とは異なるうつ病

従来型のうつ病と異なるタイプのうつ病には、非定型うつ病のほか、以下のようなものがあります。

逃避型うつ病30歳前後で発症する、エリート気質のサラリーマンが陥りがちな抑うつ状態です。仕事に対して意欲を失い、平日の朝は起きられないが、午後や週末になると治って自分の趣味や家族サービスなどに打ち込めることが多いです。自責の念にとらわれたり、他罰的になったりする傾向は少ないといわれます。

現代型うつ病若いサラリーマンに比較的多い病状です。会社組織への一体感や忠誠心が希薄で、仲間意識も乏しく、仕事にあまり熱心ではない傾向があります。仕事の負荷が増大すると発症しますが、従来型に比べると症状は軽いです。また、趣味に非常に熱心に取り組むという特徴があります。

未熟型うつ病20歳前後に発症しやすい病気です。仕事上の挫折やプライベート上の問題で、理想通りのライフスタイルが維持できないと感じるときに発症することが多いです。不安感や焦燥感、他人に対する依存が強く、受け入れられないと攻撃的になります。

ディスチミア親和型うつ病30歳前後に多く発症がみられます。自らやる気のなさや抑うつ感、心理的疲労を訴えるのが特徴で、他罰的な傾向がみられます。社会との関わりに執着がないため秩序、役割といったものへの愛着が希薄で、そのため同一化を求められることに強いストレスを感じます。

これらのうつ病は非定型うつ病と同じような症状も見られますが、非定型うつ病の分類の基準が、従来型の治療に用いる三環系抗うつ薬では症状が改善せずモノアミン酸化酵素阻害薬で改善が見られるといった生物学的なものに対し、以下のうつ病の場合はその基準が治療過程での心理的側面に注目したものとなっています。



2015.11.14 ヘルスケア大学から引用