うつ病の自殺願望・自殺未遂と周囲がするべき対処方法


                       


うつ病患者の自殺率は15〜25%と、高い傾向にあります。もし身近なうつ病患者が自殺未遂した場合、どのように接するべきなのでしょうか。


■自殺未遂後の患者への対応

うつ病患者の中には、不安感や焦燥感から「消えてしまいたい」「いっそ死んでしまいたい」といった自殺願望を抱く人もおり、実際に自殺してしまうケースや自殺未遂を起こすケースがあります。うつ病患者が自殺未遂を起こした時は、病院に入院させるなど、医師の目の届くところで治療を受けさせるのが有効ですが、大切なのは患者をできるだけひとりにせず、精神面で孤独を感じさせないようにすることです。普段と異なる様子があれば、すぐに医療機関に相談しましょう。もうひとつは本人と「もう二度と自殺はしない」と「約束」を交わすことです。うつ病は自責的でまじめな人がなりやすい病気なので、約束を交わすことで、本人の性格により約束を守る努力をしようとします。



■うつ病患者の自殺・自殺未遂を防ぐには

自殺や自殺未遂を未然に防ぐためには、家族や周囲の人がうつ病患者の発信するサインに気づくことが大切です。たいていの場合、うつ病患者が自殺を実行する前には何かしらのサインを発信しています。自殺のサインとして見られるものには以下のようなものがあります。

ネガティブなことばかり口にする「自分なんかいなくなったほうがいい」など、自殺衝動を思わせるセリフを口にする。

朝起きると調子が悪い朝食が食べられない、いつも通りの時間に起きられないなど。

身の周りの整理をする大切にしていたものや思い出のものなどを捨てるといった整理を始める。

家族とコミュニケーションしない部屋に閉じこもったまま、周囲とコミュニケーションを取ろうとしない。

食欲がない食事量が減り、外見が痩せ細ってきた。



■自殺のサインが見られた時の対処法

うつ病患者は、脳機能の低下により、「自殺したい」という思い込みを本人の意思だけで振り払うのが困難な状態になっているので、周囲のサポートが大切になります。「生きていくのがつらい」「いなくなりたい」などの自殺念慮(じさつねんりょ)があった時は、患者の話をじっくり聞いてあげるようにしましょう。いちばん注意したい時期は、患者がうつ病から回復傾向にある時です。うつ病が完全に治っていない状態で職場復帰しようとして、うまくいかず、その絶望感により発作的に死を選ぶケースがあります。

うつ病の回復は一進一退です。病状が再発しても、治ることを信じて焦らないようにすることが大切です。


ヘルスケア大学から引用