家族、周囲の方へ

こころの病気は、きちんと治療する必要があります

あなたの近しい人が病気になったら、誰もが心配します。きちんと治療をうけて、早く治るようにとこころから願うことと思います。
ところがこころの病気になると、「きちんと治療をうけて」という部分があいまいになってしまいます。

「こころの病気は気の持ちようで治る」
「こころが弱いからそんな病気になる」
「家族が精神科に通ったら恥ずかしい」

などの思いが生まれるのです。
それは、「こころの病気」への理解が十分でないためといえます。
「こころの病気」は体の病気と同じように、専門知識のある医師や医療関係者による治療を必要とします。
病巣が目に見えないからといって、存在しないものではないのです。

 

まずは、時間を作り、黙って話を聞いてあげましょう

とはいっても、この人はこころの病気かな?と思ってすぐに精神科に連れて行くのは乱暴な話です。
どんなに親身に思ってしたことでも、そんなことをされた当事者本人は自分を突然精神科に連れて行った家族や周りの人を二度と信じなくなってしまいます。
本人たちは皆、不安や恐怖に悩んでいます。
そして、その気持ちが理解されないといと感じて、いっそうつらい気持ちをつのらせています。

周りにいる人はまず、その思いを時間をかけてじっくりと聞いてあげてください。そのとき、話のつじつまが合わなくても、変な思いこみをしていても、否定するようなことは言わないようにしましょう。
相手の目をみてうなずいて聞くだけでいいのです。
それだけで、患者さんの気持ちはとても落ち着きます。
家族や友人ができる最良の支援は、この「話を聞く」ことだといえます。
そうして本人が落ち着いたところで、精神科・心療内科などの専門施設の受診を考えます。

もし当事者本人にこうした専門施設に対する抵抗があるようであれば、普段から受診している家庭医的な医師や地元の保健所などに相談し、第3者の立場から専門施設への受診を提案してもらうのもひとつの手です。


自分を責めない

家族や近しい人がこころの病気になると、周りの人は

「この人のこころを追いつめたのは私だ」
「自分の遺伝のせいではないか」

などの思いにとらわれがちになります。
とくにその人の近くにいて、こころから心配している人ほどこういう思いが強くなります。
その思いは患者さんの回復にマイナスになってもプラスになることはありません。
患者さんと寄り添って治療をすすめていくためには、そうした思いの中に立ち止まらないことが大切です。

 


「まだ必要ない」の段階で支援サービスの情報を集めておきましょう

こころの病気に限らず、病人の看病・介護はストレスの多いものです。
すぐに回復する病気ならば、周りの人も気力を保って駆け抜けることができますが、こころの病気の場合、回復に時間がかかったり回復が期待しにくい場合もあります。
そうした患者さんの近くにいて支え続けることは、その人を思う気持ちが強いほどつらいものになっていきます。

そうした時に息抜きができるようにするためにも、そして患者さんとの関係を良好に保ち続けるためにも、ぜひ、1人ですべてを背負い込もうとしないでどこかで息抜きができる体制を作っておいてください。
家族や友人で分担できるのならば何人かで分担する、そのような家族や近しい人が他にいない場合は介護サービスや支援サービス・訪問看護などの利用が可能か調べる、また同じ病気をもつ家族が集まる家族会に参加するなどの手続きなどを早めにしておきましょう。

看病・介護に疲れてからでは、いろいろな情報を集めたりする気力がなくなってしまので、「まだ必要ない」と思えるうちに息抜きの手段を見つけておいてください。
自立支援医療制度や障害年金などの資金面の情報も、はじめにきちんと調べておきましょう。
こうした情報は、市町村、担当医やソーシャルワーカー、また患者会・家族会などでも得ることができます。

気力がたっぷりあるうちに、できるだけたくさんの情報を集めていざとなったらそれらを精一杯活用できるようにしておきましょう。

 

家族の方、周囲の方は、こんな支援が利用できます

あまり知られていませんが、たとえば、こころの病気で通院する際には、多くの場合、「自立支援医療」という医療費助成を受けられます。このほか、 様々な経済的支援の受け方、医療機関の探し方、相談できるところ、訪問サービスや、精神障害者の日中活動、住まいの支援など、支援のための様々な制度・仕 組みがあります。

 

出典:みんなのメンタルヘルス総合サイト