増える「受験うつ」、兆候と保護者の心得を専門家に聞く

 

増える「受験うつ」、兆候と保護者の心得を専門家に聞く

 

 

近年、子どもの「受験うつ」が増えているという。受験期に発症するうつ症状を呼ぶが、「受験勉強がはかどらない」「覚えたはずのことが思い出せない」といった症状が2週間以上続く場合、その可能性も疑ってみた方がよさそうだ。受験生のうつ治療に数多く携わってきた、本郷赤門前クリニック院長の吉田たかよし氏に、ベネッセ教育情報サイトが「受験うつ」のサインと保護者の心得について話を聞いた。

 

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うつ病にはいくつかのタイプがありますが、受験期に「うつ症状」で受診する患者さんの多くが「新型うつ」。その主な原因とされているのは、自己愛の暴走です。自己愛が過剰に膨れ上がり、現実との間で折り合いを付けられなくなると、「自己愛性パーソナリティー障害」を起こします。受験生の場合、自分自身の能力を過剰に評価してしまい、受験勉強で保護者や自分が期待している評価を得られない結果、そのストレスからうつ状態になってしまうケースが少なくありません。

 

「勉強が手につかない」「問題集を読んでも頭に入らない」「記憶力や集中力の低下」「自殺願望」「睡眠障害」「食欲不振・過食」「過剰な疲労感」といった症状が2週間以上続くようであれば、うつ症状かもしれません。お近くの精神科か心療内科を受診することをおすすめします。本人が抵抗する場合は、保護者だけでも構いません。

 

一方で、子どもがうつ症状である場合、保護者自身がストレスや、心に問題を抱えている場合も多いもの。保護者が周囲からなんらかのプレッシャーを掛けられていると、子どもにそのストレスを負わせてしまうことがあります。また、保護者同士が学歴を競争し合い、子どもが巻き込まれてストレスを感じるといったケースもあります。このような場合は保護者への治療だけで、子どものうつ症状が軽減することもよくあります。保護者自身が受験によるストレスを抱えている場合も、ぜひ相談してください。