うつ病撃退する“奇跡の野菜” マウス実験で驚きの効果証明

うつ病撃退する“奇跡の野菜” マウス実験で驚きの効果証明



  体によいものは心にもよい-。この仮説を基に食べ物から心の病(やまい)を予防しようという研究が注目を集めている。身近な緑黄色野菜が鬱(うつ)病にも効果があるというのだ。動物実験では驚くべき結果が現れた。高齢者は鬱病を放っておくと認知症に移行するケースがあるだけに“奇跡の野菜”は朗報といえそうだ。

 ブロッコリーの種を発芽させた食品「スーパースプラウト」には「スルフォラファン」(SFN)という物質が含まれる。すぐれた解毒作用や抗酸化作用を持つことから、がん予防や肝機能を高めるといった研究結果が報告されてきた。このSFNに鬱病予防の可能性があることを実験で明らかにしたのが、千葉大学社会精神保健教育研究センターの橋本謙二教授(57)だ。

 実験では2種類のマウスを同じケージのなかに入れて毎日10分間、大きなマウスに小さなマウスをいじめさせた。ほかの時間は2匹の間に仕切りを作り、分けて生活をさせたがお互いの姿が見える状態は維持した。

 10日間にわたって続けたところ、小型のマウスは、大きなマウスを怖がり、ケージのなかでの行動範囲が狭まった。実験後には普通の水と1%のショ糖が入った甘い水を用意。健康なマウスは、70~80%の割合で甘い水を飲むが、いじめられた小型マウスはこの割合が50%まで低下した。鬱病患者でみられるアンヘドニア(何をしても楽しくないという症状)に似ており、鬱症状が引き起こされたと考えられる。

 ところが、実験前にSFNを注射された小型マウスは違った。

 「ストレスを与えられても、健康なマウスとほぼ変わらない70%が甘い水を飲んだ。行動範囲の減少量も、注射されていないマウスに比べて小さく、このことから、SFNが心の病気である鬱病の発症を予防できる可能性があることが結論付けられた」(橋本氏)

 人間の思春期に相当する生後4~8週のマウスにSFNの前段階物質「グルコラファニン」を含むエサを与えると、その後にストレスを与えても健康な状態を保つことも分かった。

 「高齢者の鬱病は認知症に移行するケースが多い。年をとってからでもSFNを取り入れれば、鬱病の予防に効果はあるはずだ。薬ではなく普段、口にする食べ物から、病気を予防していくことが理想的といえる」(同)

 SFNを最も効率的に摂取できる「スーパースプラウト」はスーパーなどでも購入できる。今日から食卓に取り入れてみてはいかがだろう。