約40%の女性に現れる…その「うつ」の症状、更年期からくるものかも

 

更年期とは閉経をはさんだ前後4〜5年くらいのことをいいます。更年期には女性ホルモンの分泌が急激に低下し、これが体にさまざまな影響を及ぼします。更年期の時期ににうつ症状を伴うことも多く見られます。

 

■更年期障害の症状、うつ病・不安感

 

更年期には卵巣機能の低下により女性ホルモンの分泌量が減少し、これが脳の視床下部にある自律神経中枢に影響を及ぼすことから自律神経失調症状が引き起こされます。自律神経失調症状の代表的なものに、のぼせ・ほてり・発汗などの「ホットフラッシュ」があります。

加えて、この年代になると家庭環境や社会環境によるストレスが増加。子離れ、夫の定年、肉親との死別、介護疲れ、老後への不安、肉体や容姿の衰えなどさまざまなストレスが引き金となって精神症状が起こり、自律神経失調症状と影響し合って更年期障害の症状を複雑にしています。

更年期障害の精神症状には、憂うつ、イライラ、不安感などがありますが、中でも憂うつは閉経女性の約40%に認められており、最近の調査ではホットフラッシュよりも頻度が高いことがわかっています。

 

■更年期のうつ病の可能性も

 

更年期障害によく見られる精神症状が、うつ病の症状の一部である可能性もあります。また、更年期障害で現れる憂うつや不安、不眠といった症状の悪化によってうつ病になるケースもあります。心身の不調が続くときは、更年期だから仕方がない、とあきらめる前に、うつ病ではないかと疑ってみることも必要です。

特に、強い憂うつ感や意欲の低下が続くときは、「更年期うつ病」の疑いがあります。

PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)、産後のうつ経験がある方は更年期にうつ病になりやすいという報告もあり、特に注意が必要です。

少しでも気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談しましょう。

治療の方法はさまざまありますが、基本は心身を含めた十分な休養です。なんといっても家族の協力は欠かせず、励ますことはせずに温かく見守ることが大切。軽いうつ病の場合は、本人が明るくふるまおうとしていることもあるため家族でも気づきにくいのですが、少しでも兆候が見られた場合は誰かが休ませてあげることも必要です。

 

 

ヘルスケア大学 から転載